ネットワーク・インターフェース層


代表的なプロトコル

プロトコル名 働き
イーサネット メタルケーブルや光ファイバーケーブルでデータを伝送する
PPP ユーザ認識して遠隔地の機器と通信する
ARP ネットワーク機器のMACアドレスを調べる

 

ネットワークインターフェース層の担当範囲

 ネットワークのハードウェアには有線LAN、無線LANなどのさまざまなものがあり、それらを制御して隣接する他の機器まで
 データを届けるのがこの層の仕事
 ネットワークインターフェース層に属する規格は、ソフトウェア的なデータ形式やプロトコルなのでの仕様と、ケーブルの
 種類や材質、コネクタ形状、信号の流し方といった仕様が組み合わさったものが大半であったる

MACアドレス

 ネットワークカード(NIC)には、MACアドレスという識別番号が割り振られている。製造段階でメーカが付けたもので、グ
 ローバルIPアドレス同様、全世界で重複しないように設定されている
 16進12桁で表記。前半24ビットがカードの製造メーカーを識別するベンダー番号、後半24ビットがベンダー内での識別番号
 ネットワークインターフェース層が送るデータをフレームと呼び、フレーム内に宛先と送信元のMACアドレスが含まれる
 IPヘッダのIPアドレスは変わらないが、MACヘッダに記述されたMACアドレスはルータを経由するたびに変更される

イーサネット

 

 

規格名 特徴
  100BASE-TX ツイストペアケーブルを使用し、100Mbpsで通信
  1000BASE-T ツイストペアケーブルを使用し、1000Mbpsで通信。現在の主流
  1000BASE-X 光ファイバーケーブルを使用。LX、SX、FXなどの規格があり、それぞれケーブルの種類や伝送距離が異なる
  10GBASE-R 光ファイバーケーブルを使用。10Gbpsで10kmを超える長距離伝送も可能
 機器同士をケーブルで繋ぐ有線LANは、イーサーネットという規格に則っている。ビットの 0 と 1を電圧の変化として送る
 受信側のネットワークカードは電圧が変化する信号を受け取って 0 と 1 のデジタルデータに復号する。電圧の変化のタイ
 ミングに合わせられるよう(データの先頭から読み込めるよう)、フレームの先頭にはプリアンブルと呼ばれる単純な繰り
 返しパターンが用意されている
 受信側はプリアンプルの「10101010」が続くあとに「11」が来ると、データ受信を始める仕様になっている
 データ本体の後にFCSという4バイトの信号が付加される。FCSは通信中にノイズの影響で波形が崩れ、データが化けてしまっ
 たときの検出用に利用される。受信側は、受信したデータ本体に対して計算した値がFCSの値と同じであれば正常、異なって
 いればエラーと判定する
 LANケーブルには「カテゴリー」と呼ばれる種類があり、適合する規格や対応する通信速度、伝送帯域がカテゴリーによって
 それぞれ異なる
 現在のパソコンのほとんどは 1000BASE-T に対応してる。 1000BASE-T は 1Gbps までの速度に対応しているため、CAT5E以
 上のケーブルが必須となる。ただ、同じ通信速度 1G のカテゴリー CAT5E と CAT6 では、帯域が違うため CAT6 の方が通
 信が早くなることがある

リピータハブ / ブリッジ

 CSMD/CD方式によるデータ衝突(コリジョン)の問題が大きくなり、リピータハブは使われなくなった
 コリジョンドメインを分割するネットワーク機器として、スイッチとブリッジがある
 コリジョンドメインの問題は、フレーム中の宛先MACアドレスとブリッジ(またはスイッチ)の持つMACアドレステーブルを
 照らし合わせるフィルタリング処理によって解決される
 ブリッジは、フレームの解析と転送処理をソフトウェアで行うが、スイッチでは、これをハードウェアで処理する。ハード
 ウェアによる高速なデータ解析と転送処理により、今日ではスイッチが主流となった

L2スイッチ

 L2スイッチまたはスイッチングハブは、現在主流の中継器。L2スイッチは各ポートにつながっているホストのMACアドレスを
 記憶しておき、送信相手のみに信号を流すので、基本的に衝突が起きない
 スイッチングハブはデータの受信中も送信が可能。このような通信方式を全二重通信という
 ブロードキャストドメインとは、ブロードキャストアドレスを宛先にし場合にデータが送られる範囲のこと。L2スイッチで
 ネットワークを構成した場合、ネットワーク全体がブロードキャストドメインとなるり、ネットワーク内に大量のパケット
 が送られて混雑を引き起こす

VLAN

 VLANとは、1つの物理的なネットワークを複数の論理的なねネットワークに分割する技術
 VLANの利点
 ・ネットワーク構成を用意に変更できる
 ・組織に合わせてネットワークを分割することで、セキュリティを強化できる
 ・ブロードキャストによるネットワークの帯域幅の消費を抑制できる
  VLANの種類 特徴
  ポートVLAN スタティックVLANともいう。それぞれのポートをどのVLANに所属させるかを固定的に設定する
  ダイナミックVLAN

ポートに接続したユーザの情報を見て、ポートが所属するVLANを動的に変更する。

 トランクリンクを使ってイーサーネットフレームにタグを付けることで、1本のケーブルに複数のVLANフレームを束ねて通信
 させることができる
 トランクリンクのVLAN識別情報(タグ)をする為の方法には、ISLとIEEE802.1Qの2種類の規格が存在する。主流はIEEE802.1Q
 所属先のVLANの異なるホスト同士が通信するためには、ルータやL3スイッチでルーティングする必要がある

 

L3スイッチ

 L3スイッチの特徴は、VLAN越え通信ができることと、IPパケットの転送をハードウェア処理することである
 VLAN越えはルータがあれば可能だが、ルータはWAN向けトラフィックをさばくだけでも大変な処理なため、LAN内のトラフィ
 ック処理までさせるのは、装置への負荷を考えふさわしくない。ルータはWAN接続専用とするのが現在の主流

無線LANの通信

 無線LANは、正式な規格名はIEEE802.11。無線LANでは、他の機器が電波を発信していないことを確認してから送信を開始す
 るCSMA/CA(半二十通信)という方式で混信を避けている
 1.子機が信号を発信(その間、他の子機は待機)
 2. 親機は受信を完了したらACK(応答確認)を発信。
 3. 他の子機が信号を発信
  規格名 特徴
  IEEE802.11 基本となる規格。フレームの構造などを定めている
  IEEE802.11a/b 2世代目の規格。5GHz帯のaと2.4GHz帯のbがある
  IEEE802.11g/j gはbを高速化したもので、jはaを日本仕様に調整したもの
  IEEE802.11n 5GHzと2.4GHzの両方の規格を含み、複数アンテナの利用により最大600Mbpsで通信可能。現在の主流
  IEEE802.11ac

IEEE802.11nの技術拡張を利用した「帯域幅の拡大」「変調信号の多値化(伝送能力を1.3倍増)」「MINO方式の拡張」により高速化を実現。現在の主流

  IEEE802.11 5GHz帯のみを使用し、最大6.9Gbpsで通信可能
 IEEE802.11に含まれる規格は、2.4GHz帯を使用するものと5GHz帯を使用するものの2種類に分かれている。Hz(ヘルツ)は周
 波数の単位で1秒間に何回の波ができるかを表している。2.4GHzは1秒に約24億回、5GHzは1秒に約50億回を指している
 2.4GHz帯と5GHz帯では、電波の届きやすさの傾向が異なる。一般的には5GHz帯の方が他の干渉が少なく、通信が安定してお
 り、通信速度も上がりやすい。ただし、5GHz帯は壁などの障害物に弱いので、環境によって2.4GHz帯と使い分ける
 近くに複数台の無線LANの機器がある場合、電波の干渉を避ける必要がある。そのため、周波数帯をいくつかのチャンネルに
 分割し、機器ごとに使用するチャンネルを分けられるように設計されている
 無線LANはイーサネットと同じく、通信するデータのことをフレームと呼ぶ
 無線LANには、複数のアンテナを組み合わせてデータ送受信の帯域を広げるMIMO(マイモ)という技術がある。論理上はアンテナ
 が2本(2ストリーム)であれば2倍に、3本(3ストリーム)であれば3倍に速度が上がる

IPアドレスからMACアドレスを調べる

 イーサネットや無線LANでデータを送るには、相手のMACアドレスを知る必要がある。そのためのに使われるのがARP(アープ)。
 問い合わせ側のホストは、IPアドレスを格納した要求パケットをブロードキャストし、受け取ったホストは、それが自分の
 IPアドレスであれば応答パケットを送り返してMACアドレスを知らせる
 Prox ARPは、ホストの代わりにルータがARPを応答する機能。サブネットマスク非対応ホストが存在するときに利用される

WiMAX

 無線LAN(Wi-Fi)と比べると、2~10kmという長距離の通信に対応している。また、移動体通信(WiMAX2)は端末が高速で移動
 してしても、基地局を切り替えて通信を継続できる。規格名はIEEE802.16

WAN

 WANとは、LANとLANの橋渡しをする、広範囲で大規模なネットワークのこと
 WAN回線は電気通信事業者が構築し、運用管理している
  WANの構成要素 特徴
  宅内装置(アクセスルータ)

WANルータともいう。LAN側とWAN側のパケットを橋渡しする役割を担う。WAN側のインターフェイスが、LANとWANとの責任分解点(ネットワーク障害時の問題の切り分けポイント)

  回線終端装置

WANの伝送方式とLANの伝送方式を変換する。たとえばWANの光ファイバーケーブルの光信号とLANのUTPケーブル(イーサーネット)の電気信号を変換する(ONU)

  アクセス回線 WANのサービスを利用するための、WANのアクセスポイントまで接続する回線(足回りともいう)
  WAN中継網

 アクセスポイント同士を中継する役割を担う。アクセス回線が一般道としたら、WAN中継網は高速道路。高速インター入り口から出口までがWAN中継網

 

 

WANの回線

特徴

  IP-VPN網

通信事業者が構築した閉域IP網。中規模から大規模拠点ネットワーク、かつセキュリティ重視、通信品質が求められるネットワークで利用される

  広域イーサネット網

拠点間にネットワークはまたがるが、あたかも1つのLANであるかのようにネットワークを構成したもの。多様なルーティングプロトコルを設定可能

  インターネット網 単にインターネットと呼ばれるもの。利用にコストがかからないが、セキュリティ面が脆弱なため自らが対策を施す必要がる